分子系統樹の手法の開発

分子系統樹の信頼性と安定性に関する研究

分子系統樹は進化の過程を図示する汎用性の高い方法で、系統分類だけでなく近年ゲノム科学や表現型の進化等幅広い分野で使われている。系統樹内部枝毎に複数のサブツリーを作成し、サブツリーと系統樹が同じトポロジーを示した場合に系統樹の安定性が高いとし、系統樹の安定性を示す統計学的指標を新たに考案し、コンピュータプログラムを開発した。

Katsura Y, Stanley CE, Kumar S, Nei M. The Reliability and Stability of an Inferred Phylogenetic Tree from Empirical Data. Mol Biol Evol. 34:718-723. 2017.

重複遺伝子間での分子系統樹のトポロジーの類似性を数値化する指標の考案

先行研究(Katsura et al. 2017)をさらに発展させ、重複遺伝子ファミリー間での系統樹のトポロジーの類似性を数値化する指標を考案した。脊椎動物のゲノム倍加により重複したと考えられるMHCクラスIIα鎖とβ鎖遺伝子の例をあげ、重複遺伝子間の系統樹のトポロジーは大きく異なっていることを数値化した。これより、倍数体化したゲノムの2倍体化の進行度も推定された。

Katsura Y*, Nei M. The Reproducibility of an Inferred Tree and the Diploidization of Gene Segregation after Genome Duplication. Genome Biol Evol. 12: 3792-3796. 2020.

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